Apple パスキー設定|パスワードなしで守る手順【初心者向け】
こんにちは。テックスタイルchです。
最近は、身に覚えのないサインインの通知や、確認コードが届いたという相談をよく耳にします。パスワードが何らかの形で知られてしまうと、本人でなくてもサインインを試せてしまうのが、今のしくみの弱いところです。
その弱点を減らす方法として、Appleが勧めているのが「パスキー」です。パスワードを入力せず、Face IDや Touch IDで本人確認をするしくみで、iPhoneを使っている方なら、特別な機器を買わなくても始められます。
この記事では、パスキーとは何かという基本から、iPhoneでの設定手順、使い方、困ったときの対処までを順番にご説明します。専門用語には、そのつど意味を添えました。
先にお伝えしておきたい点が一つあります。Appleの公式ページでは、パスキーはWebサイトやアプリにサインインするための機能として説明されています。Apple Account(以前のApple ID)そのもののサインインをパスキーに切り替える方法は、今回確認した公式情報には載っていませんでした。そこで本記事では、「パスキーでほかのサービスを守る方法」と「Apple Account自体を守る設定」の2本立てで進めます。情報は2026年10月18日時点のものです。
パスキーとは?パスワードとの違いを先に整理
はじめに、パスキーがどんなものかを、できるだけやさしく見ていきます。
パスキーは「パスワードの代わりになる本人確認の方法」
パスキーは、パスワードを入力する代わりに、顔認証や指紋認証、またはiPhoneのパスコードで本人確認をする方法です。Appleは、パスキーをパスワードに代わるものとして設計したと説明しています。
使う側から見ると、いつものようにFace IDで画面を開くのと同じ感覚です。文字や数字を覚える必要がなく、入力の手間もありません。
裏側では「鍵のペア」が使われています
少しだけ中身をお話しします。パスキーを作ると、iPhoneの中で2つで1組の鍵が作られます。片方は「公開鍵」で、サービス側のサーバーに預けます。もう片方は「秘密鍵」で、iPhoneの中にだけ残ります。
公開鍵は、見られても困らない情報です。一方、サインインに本当に必要なのは秘密鍵のほうで、これはサービス側にも渡りません。パスワードのように、同じ文字列をサービスと自分の両方が知っている状態にならないため、サービス側から情報が漏れても被害が広がりにくい設計になっています。
フィッシング詐欺に強い理由
フィッシング詐欺とは、本物そっくりの偽サイトに誘導して、パスワードなどを入力させる手口です。パスワードは、人が打ち込む文字ですから、だまされて偽サイトに入力してしまうことがあります。
パスキーは、ひとつひとつのサービスのために作られる鍵です。本物のサービス用に作った鍵は、偽サイトでは使えません。Appleも、パスキーはフィッシング詐欺への対策に優れていると説明しています。
パスワードは覚えなくても大丈夫
「パスキーを使うと、パスワードはもういらないの?」と思われるかもしれません。サービスによっては、パスキーを作ったあとも、パスワードでのサインインが選べる場合があります。そのため、すぐにパスワードを捨てるのではなく、まず試してみて、慣れてから整理していくのが安心です。
Apple Accountとパスキーの関係を知っておく
パスキーの話で混乱しやすいのが、Apple Accountとの関係です。ここで整理しておきます。
パスキーの保管場所はiCloudキーチェーン
iPhoneで作ったパスキーは、iCloudキーチェーンというしくみで保管されます。iCloudキーチェーンは、パスワードやパスキーをまとめて保存し、同じApple Accountでサインインしている自分のApple製品同士で共有する機能です。iPhoneで作ったパスキーを、iPadやMacでも使えるのは、このためです。
このデータは、エンドツーエンドで暗号化されています。簡単に言うと、送り主と受け取り手以外には中身が読めない状態にする方法です。Appleでさえ、その鍵を知らないと説明されています。
パスキーを使うための条件
Appleのサポートページによると、パスキーを使うには、次の3つがそろっている必要があります。
- iOS 16、iPadOS 16、macOS 13、tvOS 16 以降であること
- iCloudキーチェーンがオンであること
- 2ファクタ認証がオンであること
2ファクタ認証とは、パスワードに加えて、もう一つの方法でも本人確認をする、2段階のしくみです。Apple Accountでは、新しい機器でサインインするときに、パスワードと6桁の確認コードが必要になります。
「Apple Accountの守り」がパスキーの土台になる
ここが大切なところです。パスキーの安全性は、保管場所であるApple Accountの安全性に支えられています。
Appleは、iCloudキーチェーンを使うApple Accountでは、2ファクタ認証を必須にしています。また、Apple Accountが不正に使われた場合でも、パスキーとパスワードが守られるように設計していると説明しています。
とはいえ、土台となるApple Accountが乗っ取られてしまっては元も子もありません。そこでこの記事の後半では、パスキーの設定に加えて、Apple Account自体を守る設定もご紹介します。
パスキーを設定する前の準備5つ
パスキーの作り方に入る前に、iPhone側の準備を確認します。5分ほどで終わります。
準備1:iOSのバージョンを調べる
「設定」→「一般」→「情報」を開き、「iOSバージョン」を見ます。パスキーにはiOS 16以降が必要です。この記事を書いている時点では、iOS 27が配信されています。古いバージョンのままの場合は、「ソフトウェアアップデート」から更新してください。
準備2:Apple Accountにサインインしている
「設定」アプリの一番上に、自分の名前やメールアドレスが出ていれば、サインインできています。何も出ていない場合は、画面の案内に従ってサインインします。
準備3:iCloudキーチェーンをオンにする
「設定」→ 自分の名前 →「iCloud」→「パスワード」の順に進みます。「このiPhoneを同期」がオンになっているかを確認し、オフならオンにします。メニューの名前はiOSのバージョンによって少し違うことがあるため、見つからないときは「パスワード」という文字を探してみてください。
準備4:パスワードとパスキーの自動入力をオンにする
「設定」→「一般」→「自動入力とパスワード」を開きます。「パスワードとパスキーを自動入力」がオンになっているかを見ます。ここがオフだと、パスキーの候補が表示されません。
準備5:Face IDかパスコードを設定している
パスキーの利用を承認するのは、Face ID、Touch ID、またはパスコードです。「設定」→「Face IDとパスコード」で、いずれかが設定されているかを確認します。パスコードを設定していない状態は、パスキーを使うこと以前に、iPhone自体が無防備なので、この機会に設定しておくと安心です。
準備に不安があるときは
画面の表示が説明と違う、設定が見つからないなど、迷ったときはLINEメンバーサポートでご相談ください。
iPhoneでパスキーを作る手順
準備ができたら、実際にパスキーを作ってみましょう。
基本の流れはどのサービスも同じ
パスキーは、サービスごとに1つずつ作ります。作る場所は、対応しているWebサイトやアプリの中です。Appleのサポートページでは、次のような流れで説明されています。
- iPhoneで、パスキーに対応しているWebサイトやアプリのサインイン画面を開きます。
- すでにアカウントがある場合は、いつもの名前とパスワードでサインインします。
- アカウントの設定や管理の画面に進みます。
- パスキーを保存するオプションが表示されたら、「続ける」をタップします。
- Face IDなどで承認すると、パスキーが保存されます。
新しくアカウントを作る場合は、新規登録の途中でパスキーの作成を案内されることがあります。画面の案内に沿って進めてください。
設定画面の名前はサービスごとに違います
パスキーを作る項目の名前は、サービスによって異なります。「パスキーを作成」「パスキーを追加」「パスワードなしでサインイン」などの表記があります。見つからない場合は、アカウント設定の中の「セキュリティ」や「サインイン方法」のあたりを探してみてください。
パスキー対応の確認は、サービス側の案内で
どのサービスがパスキーに対応しているかは、サービスごとに状況が違い、増え続けています。ご利用のサービスの公式ヘルプなどで、最新の対応状況を確認してください。
作れたかどうかの確かめ方
iPhoneの「設定」→「パスワード」を開くと、保存されているパスワードやパスキーの一覧が見られます。サービス名を探して、パスキーの表示があれば、作成できています。
手元にあると安心なアイテム:YubiKey 5C NFC
ここで、パスキーを使い始める方に向けて、一つご紹介します。
パスキーは、iCloudキーチェーンを通じて、自分のApple製品に保存されます。便利な反面、「iPhoneやiCloudがうまく使えなくなったとき、別の手段もあると安心だな」と感じる方もいると思います。
そんな方の選択肢が、YubiKey 5C NFCです。USBの形をした「セキュリティキー」と呼ばれる小さな機器で、対応するサービスに登録しておくと、本人確認の手段として使えます。端子はUSB-Cで、スマホにかざすNFCにも対応しています。
大切なのは、すべてのサービスで使えるわけではない点です。サービス側が、セキュリティキーの登録に対応している必要があります。購入前に、ご利用中のサービスの設定画面やヘルプで、対応しているかを見ておくと、買ったのに使えないという失敗を避けられます。
また、小さいものなので、なくさないように保管場所を決めておくことも大切です。普段のパスキー運用だけで足りる方には、必須のものではありません。「もう一つ保険がほしい」という方向けの、あくまで追加の選択肢としてお考えください。
パスキーでサインインする方法
パスキーを作ったあとは、サインインがとても楽になります。使い方も確認しておきましょう。
iPhoneでサインインする
パスキーを作ったサービスのサインイン画面を開き、アカウント名の欄をタップします。画面の下か、キーボードの上あたりに、アカウント名の候補が表示されます。その候補をタップして、Face IDで承認すると、サインインできます。
パソコンでサインインする
パソコンにも、そのサービスのパスキーが保存されていなければ、iPhoneを使ってサインインできます。パソコンのサインイン画面で、「その他のサインイン方法」といった項目を選ぶと、QRコードが表示されることがあります。そのQRコードをiPhoneのカメラで読み取り、Face IDで承認すると、パソコン側でサインインできます。
表示される文言は、ブラウザやサービスによって違います。この方法は、iPhoneが手元にあることが前提なので、パソコンで作業するときは、iPhoneを近くに置いておいてください。
自分のものではない端末で使うとき
公共の図書館やネットカフェ、友人の家のパソコンなど、自分のApple Accountがつながっていない端末でも、iPhoneが手元にあれば、サインインできる場合があります。この場合、パスキーはその端末に残らず、iCloudキーチェーンに保存されたものを使います。共有の端末では、サインイン後にサービスからサインアウトすることを忘れないようにしてください。
Apple Account自体を守る設定
ここからは、パスキーの土台である、Apple Account自体の守りを固める設定です。パスキーを作る・作らないにかかわらず、確認しておくと安心です。
Apple Accountの乗っ取りとは
Apple Accountの乗っ取りとは、第三者があなたのApple Accountにサインインして、勝手に使ってしまう状態のことです。写真や連絡先を見られたり、「探す」アプリを悪用されたり、購入に使われたりするおそれがあります。
気づくためのサインや、起きてしまったときの対応は、Apple Accountの乗っ取りのサイン5つの記事にまとめています。あわせてご覧ください。
設定1:2ファクタ認証がオンか確認する
先ほどご説明したとおり、パスキーを使うには2ファクタ認証が必要です。「設定」→ 自分の名前 →「サインインとセキュリティ」を開き、2ファクタ認証の状態を見ておきましょう。詳しい説明は、Appleのサポートページ「2ファクタ認証について」にあります。
設定2:信頼できる電話番号を今の番号にする
確認コードは、信頼できるデバイスか、信頼できる電話番号に届きます。機種変更や乗り換えで、電話番号が変わっていないかを確かめてください。古い番号のままだと、コードが受け取れず、困る原因になります。
設定3:サインイン中のデバイスを見直す
「設定」アプリの自分の名前の画面を下にスクロールすると、同じApple Accountでサインインしている機器の一覧が出ます。見覚えのない機器があれば、削除して、すぐにパスワードを変更してください。
設定4:Apple Accountのパスワードを強いものにする
パスキーを始めても、Apple Account自体のパスワードは引き続き大切です。ほかのサービスと同じパスワードを使い回していないかを見直しましょう。変更は、「設定」→ 自分の名前 →「サインインとセキュリティ」→「パスワードの変更」から行えます。手順の詳細は、Appleのパスワード変更のページで確認できます。
設定5:アカウント復旧用の連絡先を決めておく
Appleのサポートページでは、アカウント復旧用の連絡先を設定しておくと、Apple Accountのパスワードやデバイスのパスコードを忘れても、アクセスを取り戻しやすくなると説明されています。任意の設定ですが、備えとして役立ちます。設定方法は、Appleのアカウント復旧用の連絡先のページをご覧ください。
不正ログインの通知が来たときは
「海外からのサインイン要求」といった通知が出たり、身に覚えのない確認コードが届いたりしたときは、コードを絶対に誰にも伝えず、「許可しない」を選んでください。そのうえで、パスワードを変更します。くわしい対処は、Apple Accountの不正ログインへの対策の記事で解説しています。
パスキーを使うときの注意点
便利なパスキーですが、使う前に知っておきたい点がいくつかあります。
iCloudからサインアウトすると使えなくなることがある
パスキーはiCloudキーチェーンに保存されています。iCloudをオフにしたり、Apple Accountからサインアウトしたりすると、パスキーにアクセスできなくなる場合があります。機種変更や修理の前には、この点を思い出してください。
すべての機器をなくした場合の復旧
iPhoneなど、すべての機器をなくしてしまった場合でも、iCloudキーチェーンの復旧という方法があります。Appleのサポートページによると、復旧にはApple Accountとパスワードでの本人確認、登録済みの電話番号に届くSMSへの返答、デバイスのパスコードの入力が必要です。
認証を試せるのは10回までで、失敗が続くとロックされます。合計10回失敗すると、復旧用のデータは破棄されると説明されています。落ち着いて、確実に入力してください。
サービス側の復旧方法も確認しておく
パスキーが使えなくなったときのために、サービスごとの復旧方法も知っておくと安心です。パスワードでのサインインを残しているサービスなら、パスワードの管理も続けておきましょう。
共有の端末では慎重に
家族で使うiPadなど、複数人が触れる端末では、自動入力をオフにするなど、運用を考えてください。端末にパスコードと生体認証を設定しておくことも、最低限の備えになります。
パスキーの設定でつまずいたときの対処
最後に、よくあるつまずきと対処をまとめます。
パスキーの保存画面が出ない
次の点を順番に確認してみてください。
- サービスがパスキーに対応しているか
- 「パスワードとパスキーを自動入力」がオンか
- iCloudキーチェーン(パスワードの同期)がオンか
- 2ファクタ認証がオンか
- iOSが最新に近い状態か
サインイン画面に候補が出ない
アカウント名の欄をタップしても候補が出ないときは、アプリやブラウザを一度閉じて、開き直してみてください。それでも出ない場合は、iPhoneの再起動を試します。
どうしても解決しないとき
画面の表示が違う、エラーが出るなど、うまくいかないときはLINEメンバーサポートにご連絡ください。状況をうかがったうえで、一緒に確認します。
よくある質問(Q&A)
Q1. パスキーとは何ですか?
パスワードの代わりに、顔認証や指紋認証などでサインインできるしくみです。サービスごとに専用の鍵が作られるため、偽サイトでは使えず、フィッシング詐欺に強いとされています。
Q2. パスキーを使うと、パスワードはいらなくなりますか?
サービスによります。パスキーを作ったあとも、パスワードでのサインインが残る場合があります。まず試して、慣れてから、パスワードの扱いを見直すと安心です。
Q3. パスキーを使うために必要な条件はありますか?
Appleのサポートページでは、iOS 16以降であること、iCloudキーチェーンがオンであること、2ファクタ認証がオンであること、の3つが挙げられています。
Q4. Apple Account自体のサインインを、パスキーに変えられますか?
今回確認した公式情報には、その方法は載っていませんでした。Appleの説明では、パスキーはWebサイトやアプリに使うものとされています。変更があった場合は、Appleの公式ページをご確認ください。
Q5. iPhoneをなくしたら、パスキーも使えなくなりますか?
パスキーはiCloudキーチェーンで保管されるため、同じApple Accountの別の機器があれば使えます。すべての機器をなくした場合も、キーチェーンの復旧という方法があります。
Q6. パスキーの内容を、Appleに見られませんか?
iCloudキーチェーンはエンドツーエンドで暗号化されており、Appleもその鍵を知らないと、Appleのサポートページで説明されています。
Q7. 古いiPhoneでもパスキーを使えますか?
iOS 16以降が必要です。それより古いバージョンのiPhoneでは、パスキーの作成や利用ができません。
まとめ
この記事の内容を、もう一度整理します。
- パスキーは、パスワードの代わりに、顔認証や指紋認証でサインインするしくみ
- 鍵のペアで動くため、偽サイトに強く、サービス側から情報が漏れても被害が広がりにくい
- 利用には、iOS 16以降、iCloudキーチェーン、2ファクタ認証が必要
- 作る場所は、対応するWebサイトやアプリの設定画面で、保存のオプションが出たら「続ける」
- パスキーの土台は、Apple Accountの安全性。2ファクタ認証、電話番号、デバイス一覧、パスワード、復旧用連絡先を見直しておく
- Apple Account自体をパスキーでサインインする方法は、今回確認した公式情報には載っていない
不正ログインの話題が続くと、不安になりますよね。けれども、今日できることはたくさんあります。まずは、2ファクタ認証の確認と、信頼できる電話番号の見直しから、始めてみてください。そのあとで、よく使うサービスを一つ選んで、パスキーを作ってみると、使い心地がわかります。
困ったときは、LINEメンバーサポートにご相談ください。そのほかのiPhoneの使い方や最新情報は、テックスタイルchのブログでも更新しています。


